2013年3月19日火曜日

母校OB会報投稿記事

以前、本ブログで少し触れた、海外で生活をしている
母校(高校)OBを対象にした原稿執筆依頼について、
OB会報がネット上でアップされたのでこちらでも
公開することにします。下記が全文です。



「自分の可能性を信じて突き進め」

私は現在、青年海外協力隊員としてアフリカ南部に位置するマラウイ共和国のドマシ教員養成大学で体育教員をしています。将来体育教師になる人たちや、現職で教師をしている人たちに対して体育を教え、マラウイにおける学校体育の重要性についての認識を高めることが私の役割となっています。その要請に応えるべく、通常授業の他、朝5時からの朝練習と授業後の部活動を起ち上げ、スポーツそのものを「楽しむ」をキーワードに、生徒と一緒に様々なスポーツを行っています。
ところでみなさんには思い描く将来がありますか?「夢」というような大きなものでなくてもいいです。ただし、具体的なもの。私は、高校入学当初持っていませんでした。自分の将来が全く思い描けず、自分の将来をしっかり見据えてそれに向かって努力している友だちが、随分と大人に見えたものです。しかし、こんな私でも熱中するものがありました。陸上競技です。当初は砲丸投げを専門にしていました。しかし、その競技レベルと言えば県大会入賞がやっとのレベル。陸上競技で将来を思い描くのは当時の私にとってとても難しいものでした。しかしある日、陸上の監督がこんな言葉をくれたのです。「お前は日本一になるかもしれない。可能性は大変高い。だが、あくまでも可能性。なって初めて笑える。」この言葉をもらった当時の自分は、随分と困惑したものです。身体も特別大きくない、県大会入賞がやっとのレベルの自分に、何を根拠にそんなことが言えるのかと。肝心の当の本人が自分の可能性を信じられていなかったのです。しかし、こんな自分をそういう目で見てくれる人がいるという事実が、勝手に自分の可能性を制限していた自分がいることを気付かせてくれ、結局はこの言葉がきっかけで次第に日本一を目標に掲げるようになっていきました。そうして、高校二年生のインターハイで7位入賞、高校三年生のインターハイで3位入賞し、もっと自分の競技者としての可能性にチャレンジしたいという気持ちから筑波大学への進学を決めました。大学進学後は高校時代に負った腰椎椎間板ヘルニアの怪我のこともあり、砲丸投げからより腰に負担の少ない円盤投げに専門種目を切り換え、競技の中に生活を置いて円盤投げに没頭しました。大学卒業後は高校時代からの目標であった日本一(日本インカレ優勝)を果たすために同大学大学院修士課程に進学し、更なる研究とトレーニングを積んだ結果、幸いにも日本一になることができました。しかし今思うと、日本一を達成したこと以上に、目標を達成する過程で得たものの方がとても多かったように思います。そして得たものが多かったのは、やはりそれが全力で取組んだものだからこそなのだと感じています。その後、社会人経験を経て、今マラウイで体育教師をしているわけですが、これはこれまで陸上を通じてお世話になった方々に対しての感謝の気持ちを何等かの形で社会還元したいと思い、私なりの考えで形にしたものです。私の人生にこれほどまでに大きな影響を与えたスポーツの良さを、スポーツ参加の機会が多く与えられない発展途上国においても伝えたいという気持ちが礎になっています。そして今に至るのですが、現実はと言えば、厳しく高い壁が目の前に立ちはだかっている状況です。ここマラウイは、アフリカでも最貧国の一つと数えられるほどの貧しい国。初等教育が無償化になって15年以上が経った今でも、畑仕事の手伝いをしなければならない等の理由で学校に来ることができない子どもたちが大勢います。シラバス上では行われることになっている体育の授業も、ほとんどの初中等教育学校では行われていません。マラウイの教育科学省レベルにおいて体育の重要性は次第に理解され始められているものの、まだまだ現場には反映されていません。私一人が体育の重要性を説いたところで大きな変化は期待できない状態にあります。しかし、目の前の生徒を改善する方向に変えられないかと言ったらそれは別です。これまでの自分の固定観念を捨てて、自分も一緒に変わろうとする勇気さえあれば変えられる手応えを、活動が始まって1年と3ヶ月経った今、ようやく掴み始めています。彼らにとっては教育者としての一つのモデルになる私の活動。だからこそ、いつも全力で取り組む必要があり、それが将来教壇に立つ彼らにとって必ず役立つものになると信じています。私の活動はまだまだこれからが勝負どころです。私のここでの活動も残すところ9ヶ月となりましたが、最後まで全力で突き進むつもりでいます。
花高のみなさんには、自分の可能性を信じて大きな将来を思い描き、自分にうんと言えるところまで全力でとことん突き進んでもらいたいと思っています。可能性は無限ですが、それを活かすも殺すも自分次第です。みなさんの今後の可能性に期待しています。

平成23年度2次隊 マラウイ共和国 体育 秋本啓太

http://www.ink.or.jp/~hanakoudousou/PDF/hana-kai201303.pdf

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