一人はウォッチマン。
協力隊は治安の面から原則として必ず住居に警備員を
配置しなければならない。私が現在住んでいる家は
大学の敷地内にあるため、そんなに治安の悪い場所のようには
思わないのだが、カウンターパートに相談したところ、
つけることをお勧めするとのこと。最近は大学内でも盗難が頻繁に
あるようで、カウンターパートもわりと神経質になっているようだ。
蛇足ではあるが、このカウンターパートは私の前任のボランティアも
担当していたためか日本人っぽいところがある、ように思う。
そんなこんなで、カウンターパートにウォッチマンを紹介してもらった。
カウンターパートは午後に紹介するからと言っていた。
その午後、カウンターパートとOfficeにいると、ノックをして入ってくる
おじいさん2人。学生ではないだろうし、いったい誰だろうなと思っていたら
その片方がウォッチマンだった。どうやらカウンターパートの知り合いが
その友人である彼をウォッチマンとして連れてきたらしい。
カウンターパートからは、昔Prison(刑務所)で働いてて今はリタイヤ(退職)
しているけれど体が大きくていい人だというような説明を受けていたため
大いなる期待をしていたのだが、決して体が大きいわけでもない
ヒョロヒョロのおじいさんだったので正直ガックリであった。
しかし、話をしてみたところしっかりやってくれそうな
印象を受けたのでそのままウォッチマンをお願いすることにした。
彼の名はギルバート。推定60歳。
今私の家の外で初仕事をしている。
しかし…犬に噛み付かれたりしていないだろうか。
心配だ。。携帯の番号を教えてと言ったらお金が無いので持ってないと言ってた。
ここマラウイではかなり携帯電話が普及しており、お金に困っている人でも
大概は携帯電話を所持している。マラウイで持ってない人を見たのは初めてだった。
そのこともあってか、家でご飯はちゃんと食べてきたんだろうか、
家族はいるのだろうかと心配が心配を呼んでどうもこうもし難い状況になっている。
考えたらきりがない。しかし、ここで出会ったのも何かの縁。
よくコミュニケーションをとりながら、必要だと思ったことを少しずつやっていけたらと
思っている。長い付き合いになります。どうぞよろしくお願いします。
もう一人は学生。と言ってもうちの学生ではない。
仕事が終わって家に帰って料理を作っていたら、誰かが玄関をノックした。
玄関のカーテンを開けたてみたらそこに彼女が立っていた。
彼女は何か深刻そうな面持ちで話したいことがあると言った。
どうやら家に帰りたくても帰れずに困っているらしい。
道に迷ったのかと聞いたら、それもだけど、お金もなくて家まで帰れないとのこと。
ナイフで木彫りをしてペンをつくったり皿を作ったりしてそれを売って生計を立てて
いるのだが、そのグッツが売れなくて家まで帰ることができないらしい。
彼女はそう言って背負っていたバッグを開け、そのグッツを見せてくれた。
確かにどれも手作りだけど良くできている。
しかしまぁよく売れ残ったものだ。バッグがパンパンでもうこれ以上入らないと
いうくらい入っている。現にファスナーは壊れていた。
いくらかと聞いたら一つ500クワチャ(日本円にして250円)。
500クワチャあれば家に帰れるのかと聞くとそうだと言った。
陽ももうそろそろ落ち始めており、暗くなると危ないので
とりあえずバスデポ(バス停)まで送ることにした。
途中さらによく話を聞くと、実は親がいないらしく、自分が他2人の兄弟の分の
面倒も見ているとのこと。何とも言えなかった。
とりあえずお腹が空いていたようだったのでバスデポ付近のマーケットで
ポテトフライを買ってあげ、そこで彼女の手作りペンも購入した。
これで家に帰れる。彼女はありがとうと言ってほっとした面持ちで帰っていった。
要請活動外ではあるけれども、自分がマラウイに来た意義があったのでは
ないかと、そう思わずにはいられない出会いであるとともに、いろんなことを
深く考えさせられる、私にとってはインパクトのある出会いであった。
手作りペン |
0 件のコメント:
コメントを投稿